なぜ旧来の Clash から Clash Meta へ移行すべきなのか

「Clash が使えない」「Clash for Windows はもうメンテナンスされていない」「ClashX が更新されない」といったキーワードで検索しているなら、この記事はまさに目的に合っています。2023 年末以降、Clash for Windows(CFW)や ClashX など、多くの利用者が頼っていたクライアントが開発停止に近い状態となり、公式リポジトリは読み取り専用のアーカイブ化が進みました。新しい issue や pull request は受け付けられず、既知の脆弱性への修正や、新しい OS バージョンへの追随も期待しにくい状況です。サポートが止まったクライアントを使い続けるのはセキュリティ上のリスクになり得ますし、OS をアップデートするたびに動作不良が増えていく可能性もあります。

一方で、Clash Meta(公式には Mihomo へ改称)は、現在も活発に開発されている Clash 互換コアとして、コミュニティにおける事実上の主流になっています。従来の Clash 形式の YAML 設定をそのまま活かしつつ、より細かく制御できる DNS、柔軟なルーティング、VLESS/Hysteria2/Reality など新しいプロトコルへの対応、そして安定した TUN モードなど、実運用で求められる機能が揃っています。

移行のハードルは、多くの場合、思っているほど高くありません。新しいクライアントをインストールし、既存の購読 URL やバックアップした設定を取り込むだけでそのまま使い始められるケースが大半で、設定を一から書き直す必要はほとんどありません。以下では、OS ごとに具体的な手順を追いながら、安全に乗り換えるためのポイントを整理します。関連トピックは ブログ一覧 からも辿れます。

ℹ️
用語について:本記事での「Clash Meta」と「Mihomo」は同じコアを指します。MetaCubeX チームは 2024 年初頭にプロジェクト名を Mihomo に変更しましたが、多くの GUI クライアントでは引き続き「Clash Meta」と表記されることが多く、実体としては同一です。

移行前にしておきたい準備

新しいクライアントを入れる前に、数分だけ時間を取って設定をバックアップしておくことを強くおすすめします。操作ミスで大切に調整してきたプロファイルを失うリスクを大きく減らせます。

既存の設定ファイルをバックアップする

クライアントごとに、設定の保存場所が異なります。よくある例は次のとおりです。

  • Clash for Windows(Windows)%APPDATA%\clash\profiles\ 配下。CFW の Profiles 画面からプロファイルを右クリックしてエクスポートすることもできます。
  • ClashX(macOS)~/.config/clash/。Finder で ⌘⇧G(フォルダへ移動)を押し、パスを貼り付けて開けます。
  • ClashX Pro(macOS):ClashX と同様に ~/.config/clash/ を利用します。
  • Clash for Android:アプリ内の「プロファイル」画面で項目を選び、メニューから「エクスポート」を選びます。

config.yaml をデスクトップなど別の場所にコピーしておきましょう。購読 URL のみを使っている場合は、URL 自体をメモしておけば、移行後に再インポートするだけで済みます。

⚠️
注意:バックアップを取ったからといって、すぐに旧クライアントをアンインストールする必要はありません。まず新クライアントを入れ、接続とルールが期待どおり動くことを確認してから旧版を削除する方が安全です。途中で通信が切れて困る状況を避けられます。

Windows でのアップグレード手順

Windows では、コミュニティがメンテナンスする Clash Verge Rev(Clash Verge のフォーク系)や、クロスプラットフォーム対応の FlClash がよく選ばれています。いずれも Mihomo コアをベースにしており、モダンな UI と実用的な機能のバランスが取りやすいクライアントです。

ダウンロードとインストール

  1. 当サイトの クライアントのダウンロードページ を開き、Windows 向けのインストーラー(.exe など)を取得します。
  2. インストーラーを実行し、画面の指示に従います。UAC(ユーザーアカウント制御)の確認が出た場合は「はい」を選びます。TUN 用の仮想ネットワークアダプターを入れる際に必要になることがあります。
  3. 完了後、多くのクライアントは自動起動し、通知領域(トレイ)に格納されます。

プロファイルまたは購読の取り込み

  1. トレイのアイコンからメインウィンドウを開きます。
  2. 「プロファイル」や「Profiles」などの画面へ移動し、右上の「+」や「インポート」を選びます。
  3. 購読 URL がある場合は「URL から」などの項目を選び、URL を貼り付けて更新します。クライアントが自動でノードとポリシーグループを取り込みます。
  4. 手元に config.yaml がある場合は「ローカルファイル」から指定して読み込みます。
  5. 一覧で該当プロファイルを選択し、現在使用する設定として有効化します。
ヒント:取り込み後は「自動更新」を有効にし、6〜24 時間ごとなど定期で購読を取得するようにしておくと、ノード失効による接続不能を防ぎやすくなります。

プロキシが効いているか確認する

ノードを選び、システムプロキシまたは TUN モードをオンにしたうえで、ブラウザから ip.sbwhatismyip.com などを開き、表示される IP が出口ノードの地域に変わっているか確認します。変わらない場合は次を順に確認してください。

  • ステータス表示に「システムプロキシ:オン」など、プロキシが有効になっている旨が出ているか。
  • 選択中のポリシーが「GLOBAL」相当か、閲覧先ドメインをプロキシへ送るルールにマッチしているか。
  • TUN を使う場合、管理者として実行しているか(権限不足だとドライバが正しく入らないことがあります)。

macOS でのアップグレード手順

macOS では、メニューバー常駐型の ClashX Meta と、機能が豊富な Clash Verge Rev などから用途に合わせて選べます。ここでは Clash Verge Rev を例にします。

Clash Verge Rev をインストールする(macOS)

  1. ダウンロードページ から macOS 用のビルドを選び、チップに合わせて arm64(Apple Silicon)または x64(Intel)を入手します。
  2. .dmg を開き、アプリを「アプリケーション」フォルダへドラッグします。
  3. 初回起動時に「開発元を確認できない」旨のダイアログが出た場合は、「システム設定」→「プライバシーとセキュリティ」から「それでも開く」を選びます。
  4. 初回に TUN 用ヘルパーのインストールを求められたら、macOS のログインパスワードで許可します。

設定の取り込み(macOS)

基本的な流れは Windows 版と同様です。プロファイル管理画面から URL 購読またはローカルファイルを取り込み、有効化したあと「システムプロキシ」をオンにすれば、Safari や Chrome からでもプロキシ経由で閲覧できます。

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macOS Sequoia(15.x)以降の注意:OS 側の VPN/プロキシ関連の権限制御が厳しくなっています。TUN が起動しないときは、「システム設定」内の VPN やプロファイルの項目を確認し、必要なプロファイルの信頼や権限付与が済んでいるかを見直してください。

Android でのアップグレード手順

Android では Clash Meta for Android(通称 CFA Meta)や FlClash が定番です。FlClash はデザインがモダンで、Android・Windows・macOS と揃えて使いたい人にも向きます。

インストールの流れ

  1. ダウンロードページ から .apk を取得します。
  2. 「設定」→「セキュリティ」などで、ブラウザやファイルアプリからの「提供元不明のアプリ」のインストールを許可します(端末や OS バージョンで文言は異なります)。
  3. 保存した APK をタップしてインストールします。
  4. 初回起動時に VPN 接続の許可を求められたら、内容を確認のうえ許可します。

購読の取り込み(Android)

「プロファイル」タブ右上の「+」から「URL からインポート」などを選び、購読 URL を貼り付けて取得します。一覧でプロファイルをタップして有効化し、ホーム画面の大きなボタンでプロキシを開始します。

設定ファイル(YAML)の互換性

多くの人が気にするのが、「旧 Clash for Windows の config.yaml を、そのまま Mihomo 上で使えるのか」という点です。

結論として、ほとんどの場合、大きな改変なしでそのまま利用できます。 Mihomo は Clash の主要な YAML 構文(proxiesproxy-groupsrules など)を引き続き尊重しており、既存の書き方を活かせます。留意点だけ挙げます。

  • プロトコル:Shadowsocks、VMess、Trojan、SOCKS5 など一般的なプロトコルは互換性が高いです。VLESS や Hysteria など、旧 Clash 本体では扱えなかったタイプは、Mihomo 側で初めてそのまま使えるようになるケースがあります。
  • DNS:従来の dns ブロックは有効ですが、fake-ip-filterproxy-server-nameserver など、より細かい制御向けの項目が追加されています。必要に応じて段階的に追記するとよいでしょう。
  • rule-providers:リモートのルールセット(ACL4SSR など)も引き続き利用できます。移行直後に一度ルールの更新を走らせると反映が確実です。
  • 非推奨・変更された項目:ごく一部のキー(例:external-controller 周りの認証まわり)は新しいクライアントで挙動や推奨書き方が変わっていることがあります。画面に警告が出たら指示に従って微修正すれば十分なことが多いです。
手っ取り早い確認:config.yaml をそのまま読み込み、各ノードの遅延計測(ping 相当)を実行してみてください。すべて数値が返れば、実用上の互換性は高いと考えて差し支えありません。

よくある質問と切り分け

Q:購読を入れたら「解析に失敗した」、あるいはノードが空になる

購読 URL の期限切れや、サーバー側の変更が典型です。まずブラウザで同じ URL を開き、YAML や Base64 らしき本文が返るか確認してください。404 やエラーページなら、プロバイダに新しい URL を発行してもらう必要があります。また、一部の購読は User-Agent を指定しないと正しく取得できないため、クライアントの購読設定にその項目があれば合わせて試してください。

Q:TUN モードをオンにすると通信がまったく通らない

Windows では管理者権限、macOS ではヘルパー/システム拡張の許可が必要です。権限が足りず仮想アダプターが正しく入っていないと、トラフィックを転送できません。管理者として再実行するか、macOS の「プライバシーとセキュリティ」でヘルパーを許可し直してから、もう一度 TUN を有効にしてください。

Q:ブラウザだけプロキシを通るが、ゲームや CLI は直結のまま

システムプロキシ(HTTP/SOCKS)は、アプリがプロキシ設定を尊重した場合にのみ効きます。ゲームクライアントや一部の CLI はプロキシを無視して直接接続することがあります。そのような全体取り込みには TUN モード が有効で、仮想 NIC レベルで TCP/UDP を扱う方式に切り替えるのが定石です。

Q:macOS でシステムプロキシをオンにしているのに、Safari は通るが Chrome だけ直結のように見える

Chrome は通常システム設定を参照しますが、古い接続状態がキャッシュされていることがあります。Chrome を終了して再起動するか、拡張機能のうち VPN 系がプロキシを上書きしていないかを確認してください。

あとがき:長くメンテナンスされるクライアントを選ぶ

一度移行が終わると実感しやすいのが、継続的にアップデートされるかどうかが、機能一覧以上に長期的な安心につながるという点です。Clash for Windows の例のように、かつて最も使われていたクライアントでも、開発が止まれば短期間で「必須ツール」から「保守されていないソフトウェア」へ評価が変わり得ます。

当サイトで紹介しているクライアント群も、Mihomo コアの更新に追随しやすいよう選定・整理しています。複雑な YAML を自分で書かなくても、購読 URL を貼るだけで数秒レベルで最低限の設定が完了する体験を重視している方には、まず ダウンロードページ で自分の OS に合ったビルドを選ぶところから始めるのがおすすめです。他ツールと比べても、設定のわかりやすさと動作の安定感のバランスが取りやすい構成になっています。

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