なぜ「Cursor だけ」をルールで切り出すのか

Cursor のような AI 統合型エディタは、拡張機能の検索・取得、製品アップデート、クラウド側のモデルや補完 API など、HTTPS で海外リージョンへ伸びる通信がまとまって発生します。Clash を mode: rule で運用していて「中国本土や自宅回線向けは DIRECT、残りは広い意味でプロキシ」といった開発者向けプロキシ分流をしている場合、IDE まわりのホスト名が意図せず DIRECT に落ちると、拡張の一覧が読み込めない・補完が頻繁に失敗する、といった症状が出やすくなります。

一方で、すべてを常時プロキシへ固定すると、国内 CDN や社内 Git・パッケージミラーまで遠回りし、体感遅延やノードの消費が増えることもあります。そこで現実的な落としどころは、ログで実際に出ている接続先を見ながら、Cursor とその周辺サービスに関係するドメインだけを先にマッチさせ、専用の策略グループへ流すことです。これが本稿でいう Clash Cursor 向けルーティングの中心です。関連する一般論は ルール分流の解説記事 とあわせて読むと、優先順位や GEOIP の位置づけが掴みやすくなります。一覧から辿る場合は ブログ一覧 も参照してください。

⚠️
法令・利用規約:プロキシや AI サービスの利用は、所在国・地域の法律および各サービスの規約に従ってください。本記事はネットワーク経路と Clash の設定技術に限定した説明であり、規制回避を助長する意図はありません。

どの通信を「まとめて」考えるか

実務では、次のような塊として捉えると整理しやすいです。(1)拡張マーケット相当の取得元(検索・ダウンロードのホスト)。(2)エディタ本体や機能の更新チェック。(3)クラウド推論・補完・チャットに紐づく API エンドポイント。製品はアップデートでドメインやパスが変わるため、固定リストを盲信せず、接続ログを正にすることが重要です。

社内プロキシやセキュリティ製品と併用している場合は、Clash 以前に企業ゲートウェイでブロックされているケースもあります。そのときはルールを増やしても改善しないため、まずは別回線やポリシー緩和の可否を確認するのが先です。Clash 側では、DOMAIN 系ルールを GEOIP や広い MATCH より上に置くのが基本形です。広い「国内 DIRECT」ルールが先に当たると、海外向け IDE 通信まで直結のまま残ってしまいます。

おすすめの設計:専用 proxy-groups とルール前置き

Mihomo / Clash Meta 系では、次のような型が扱いやすいです。ひとつ、IDE 用の策略グループ(例:AI-DEV)を用意し、利用したいノード群・自動選択・フォールバックなど、既存の運用に合わせた入れ子にします。ふたつ、rules:確認済みの接続先ドメインDOMAIN-SUFFIX や必要なら DOMAIN-KEYWORDAI-DEV へ向けます。みっつ、それ以外は今までどおり GEOIP や既存の MATCH に任せ、国内 DIRECT と共存させます。

rule-providers を使っている構成なら、「開発者向けドメインだけを追記しやすい小さなプロバイダ」を分けておくと、本番 YAML を毎回いじらずに済むことがあります。名前の整合(策略グループ名のタイポ)は、購読テンプレとルール参照で最も多い設定ミスのひとつです。GUI で名前を変えたら、ルール側も必ず同時に直してください。

ℹ️
ポイント:ルールは上から先に一致した行だけが有効です。Cursor 向けの細かい DOMAIN 例外は、大きな GEOIP,CN や最終 MATCH より必ず上に置いてください。

YAML の記述例(ドメインは環境に合わせて差し替え)

以下は説明用の断片です。ホスト名は実際のログに合わせて追加・削除してください。コピペのままでは動かない場合があります。

proxy-groups:
  - name: AI-DEV
    type: select
    proxies:
      - 既存の海外用グループ
      - 手動で選ぶノード
      - DIRECT

rules:
  - DOMAIN-SUFFIX,cursor.com,AI-DEV
  - DOMAIN-SUFFIX,cursorapi.com,AI-DEV
  # 接続ログに出たホストを順次追加
  - GEOIP,CN,DIRECT
  - MATCH,既定の策略グループ

自動選択や遅延計測を使う場合は、AI-DEV の中身を url-test 系グループへ向けるだけでも運用は楽になります。逆に、失敗時にすぐ切り替えたいなら select を残しておく価値があります。

システムプロキシと TUN:どちらでも「ルールは同じ」

Cursor が OS のシステムプロキシを見る設定なら、Clash のローカル HTTP/SOCKS ポートへ向け、上記ルールがそのプロセスの外向き通信に適用されます。ゲームや CLI のようにプロキシを無視するものまで含めて一括で扱いたい場合は TUN が有効です。スタックの違いや権限の話は TUN モード解説 を参照してください。いずれのモードでも、「ルールが当たっているか」はログで確認するのが確実です。

DNS・fake-ip とルールのズレ

enhanced-mode: fake-ip を使うと、ドメインルールと IP ベースの判定のタイミングが変わり、見た目は同じ挙動でも内部では別経路になることがあります。IDE まわりで「ルールは PROXY のはずなのに不思議な直結」が出るときは、DNS の nameserverfallbackfake-ip-filter、クライアントのリモート DNS 相当オプションをセットで確認してください。IPv6 が有効な環境では、IPv4 だけのルールでは取りこぼす場合もあるため、経路とルールの両面を意識します。

効果の確認手順

  • クライアントの接続ログ/リアルタイム接続一覧を開き、Cursor で補完やチャットを一度トリガーして、想定ドメインがどの策略に割り当てられたかを見る。
  • AI-DEV を一時的に地域の分かりやすいノードに切り替え、遅延や成功率の変化を比較する。
  • 拡張機能の検索・インストールを試し、読み込みが止まらないかを確認する(キャッシュの影響もあるため、必要なら時間を空ける)。

よくあるつまずき

ルールを足しても挙動が変わらない

より上の行で既に別のルールにマッチしている、策略グループ名が一致していない、あるいは IDE がプロキシを見ていない、といった理由が多いです。ログの「マッチした行」と「実際に使われた出口」を突き合わせてください。

国内サイトまで遅くなった

広すぎる DOMAIN-KEYWORD や誤ったサフィックスを足すと、意図しないホストまで AI-DEV へ流れます。キーワードルールは慎重に、まずはログに出た具体的な FQDN から足すのが安全です。

まとめ

2026 年時点でも、AI IDE と拡張エコシステムは更新が早く、ルールはメンテナンス前提のリストです。Clash の強みは、YAML と GUI の両方から、DIRECT とプロキシの境界を細かく描けることにあります。Cursor 向けに Clash ルール分流を一段入れることで、拡張の取得や補全の安定性を上げつつ、国内トラフィックや既存ポリシーとの両立を狙えます。

クライアントの導入や更新は、プラットフォーム別の入手先がまとまった ダウンロードページ から行うと、後からルールを調整するときも同じ前提で読み進められます。他ツールとの比較観点を含めた総合的な話題は、引き続き ブログ で補っていきます。

無料で Clash をダウンロードし、Cursor 向けルールを自分の環境に合わせて整える